プロ野球を見ていると、気になる道具を使用している選手が続々と増えています。特に近年は目につくような珍しいものが多くなっています。
今回は、そんなプロ野球選手が着用している、ある用具について紹介します。
それは、バッターのヘルメットについているフェイスガードです。
2000年代まではほとんど見かけることのなかったフェイスガードですが、2010年に入ると多くの選手がフェイスガードの着用を始め、今ではほとんどの選手がヘルメットにフェイスガードを着用している姿を確認できます。
そもそも、このフェイスガードの役割は一体なんなのか、そして正式名称はあるのか、その歴史と流行のきっかけについて紹介していきたいと思います。
プロ野球選手が着用するフェイスガードは何という?正式名称と歴史,流行のきっかけについて
プロ野球選手が着用しているフェイスガードの正式名称、名前は何?
引用:web Sportiva
まず、あのフェイスガードに正式名称があるのでしょうか。「フェイスガード」といえば伝わるとは思うのですが、正式名称があるのであれば、しっかり知ることができれば「ひとつ上の野球通」になることができますよね。
では、あのフェイスガードの正式名称を紹介します。
正式名称は「C-Flap(シーフラップ)」と言います。
この「C-Flap」はお分かりの通り、メジャーリーグで誕生したものになります。
詳しい語源についてですが、まず「C」は、
の2つから「C」が用いられました。個人的にはC-Flap付きのヘルメットを横から見ると「C」の文字にも見えるのですが。これは語源ではないようです。
そして「flap」ですが、
以上から「C-Flap」と名付けられたのだと思います。
日本人にとっては「フェイスガード」という意味が直訳で分かってしまうような名称より、「C-Flap」といったその様を形容するような表現の方がカッコよく聞こえるかもしれませんね。
フェイスガード「C-Flap」とは?
引用:朝日新聞デジタル
一口に「フェイスガード」と言っても、その形状は様々あります。この「C-Flap」は野球選手が付けるフェイスガード全てを指すものではなく、あくまでも現在よく見られる、ヘルメットの耳あて部分が伸びたようなものだけを指します。
そしてこの「C-Flap」はポリカーボネード、またはABS樹脂で出来ていることも条件となります。
この他に、野球の歴史の中では、様々なフェイスガードが誕生しており、その歴史については次項でご紹介していきます。
フェイスガード「C-Flap」の誕生の歴史について
引用:Togetter
日本球界では、ここ数年で爆発的に着用している選手が増えたイメージですが、この「C-Flap」が誕生したメジャーリーグではどのような歴史があるのでしょうか。
メジャーリーグでも流行したのは2010年代に入ってからでしたが、実はこの「C-Flap」が開発され始めたのは1970年代から。今から約50年前にはすでに開発に入っていたそうですから、随分と歴史のある用具になります。
そして1987年には、日米の両国において、特許も取得済だそうです。随分と早くから存在していた用具だったのですね。
もともとアメリカの3大国民的スポーツであるアメリカンフットボールからこのヒントを得ているようで、アメリカンフットボールのヘルメットに使用されているフェイスガードを応用して野球にも取り入れられたとされています。
現在のような「C-Flap」が実際にメジャーリーグの試合で使用されるようになったのは、1988年が最初だと言われていますが、それ以前にもアメリカンフットボールのようなフェイスガードや、ホッケーで使用されるようなマスクを着用していたこともあったそうです。
「C-Flap」については「顔面に怪我をした際に、そのリハビリ期間中も患部を保護しながら試合に出場する」という目的で使用されることが多く、着用している光景が頻繁に見られることはありませんでした。
しかし、2014年、メジャーリーグのジャンカルロ・スタントン(当時・マーリンズ所属)が、顔面に死球を受け、復帰した翌2015年からフェイスガードを着用して復帰したことで、再び着目されました。
引用:Twitter
当時、スタントンが復帰した時に着用していたのは「C-Flap」ではなく、カーボンスチール製のワイヤーのようなあもので頬を覆うものでした。つまり、形状としては「C-Flap」誕生以前に使用されていたフェイスガードのようなものを用いていたことになります。
しかし、この「今後の怪我を防止する」という役割で着用したことで、多くの選手が「C-Flap」の着用を進めていきました。
日本のプロ野球選手では、アメリカ同様に「C-Flap」が登場する以前は、フェイスガードのようなものを着用する選手が時たまいるような状態で、日本でも「怪我をした患部を保護する目的」で着用されることがほとんどでした。
日本で初めて「C-Flap」の着用が見られたのが、2007年、当時千葉ロッテマリーンズに所属していたフリオ・ズレータ。
過去の映像からは、ズレータが「C-Flap」らしきものを着用してプレーしている姿が確認できます。
この当時、ズレータは顔面を怪我していたわけではないため、怪我を防止するという現在の役割で着用しているのは、メジャーリーグに先駆けて、このズレータが使用していたと思われます。
その後、ズレータの退団後は再び「C-Flap」も日本球界から姿を消すことになりましたが、2015年から2016年あたりに当時東京ヤクルトスワローズに所属していた、ウラディミール・バレンティンが「C-Flap」を着用したことで再び脚光を浴びることになりました。
引用:タピタピ
時を同じくして、メジャーリーグでもすでに流行していたことから日本球界でも爆発的な人気を呼び、現在ではほとんどの選手が着用しているという状況になっています。
フェイスガード「C-Flap」のもたらす効果とは?
「C-Flap」を付けていると、顔面への怪我防止の他にどんなメリットがあるのでしょうか。
実はこの「C-Flap」を付けていると、顔面への死球の恐怖が軽減され、バッターはより踏み込みやすくなっているそうです。
つまり、インコースのボールも逃げることなく、踏み込んで打つことができるようになるということですね。
ピッチャーにとっては、インコースを攻めて打者をのけぞらせ、恐怖心を煽って投球するという効果が薄れるため、攻めづらいことにもなります。
実際に「C-Flap」を装着してから踏み込みやすくなったと話す選手も多くなったそうです。
しかし、この「C-Flap」の装着は決して良いことだけではないそうです。
選手によっては「邪魔」「視界が狭くなり、見にくくなった」「C-Flapが肩に当たって痛い」など「C-Flap」の装着が合わない選手も多いようです。
アマチュアの世界で、フェイスガード「C-Flap」の装着は認められている?
引用:Dacquoise
プロ野球の世界では、規則として「C-Flap」の装着が認められていますが、アマチュアの世界ではどうなのでしょうか。
結論、学生野球では「C-Flap」の装着が認められていません。
社会人野球では、認められてきているようです。
学生野球で認められていない理由としては「C-Flap」を装着する際に、ヘルメットに穴を開け、改造するのですが、これが学生野球のルールではNG。
ヘルメットに設けられている安全基準を守ることができない可能性があるため、とされていますが、選手の安全を考慮すると、このようなルールは今後変更する必要がありそうです。
アマチュアのルールは、各団体ごとに細かくルールが変わっており、全国統一したルールが敷かれていないのが現状です。
このような「選手を守るべきルール」の変更は、今後プロ野球を例に速やかに行われることを期待したいです。
いかがだったでしょうか。
普段何気なくみていたあのフェイスガードの実態について少しでも参考になれば幸いです。
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